「布が語る物語を、日常にそっと」Made in Kyotoで彩るtextiletellsの世界 テキスタイルデザイナー 佐野明代さん 「布が語る物語を、日常にそっと」Made in Kyotoで彩るtextiletellsの世界 テキスタイルデザイナー 佐野明代さん

「日々の暮らしにそっと寄り添う、
ささやかな物語のような布ものを届けたい」
——そんな想いから生まれたのが
「textiletells(テキスタイルテルズ)」。
染織の都・京都にアトリエを構える
株式会社デザインハウス風で
textiletellsを手掛ける
テキスタイルデザイナー・佐野明代さんに
お話をうかがいました。

ひと目で心をとらえる、布の新しい表情

「textile(布)」と「tells(伝える)」を掛け合わせ“布の面白みを伝える”という意味を込めたブランド名のtextiletells。最大の魅力の一つが、デザイナー・佐野さん自身の手によって施されるペイントです。一般的な布製品では、シルクスクリーンやインクジェットプリントといった印刷技法で同じ柄を再現しますが、textiletellsではそれぞれが一点ものとしての表情を持っています。白と黒を基調とした、静かな中にも意志を感じさせる色使いも印象的(2025年秋には新色のグレーも登場!)。表面の布には、丈夫なマニラ麻を原料にした和紙の糸を丁寧に編み上げた「紙布(しふ)」という素材を使用。驚くほどの軽やかさと和紙そのものの手触りの良さが特徴です。和紙と聞くと“水に塗れても大丈夫?”と思うかもしれませんが、実は水にも強いというギャップも!

職人技とハンドペイントが織りなす一品

紙布は京都をメインに国内の工房で縫製され、その後、佐野さんがハンドペイントで大胆なグラフィックを施すことで、唯一無二の表情を与えていきます。「手で塗るからこそ生まれる、顔料の立体感、塗り跡も楽しんでいただきたいです。一度塗ったら乾かして、そこに別の色を重ねて塗るのですが、アトリエ内に干して乾かしていたら社長の髪に顔料がついてしまった、なんてこともありました笑」この顔料は、色や質感など佐野さんのこだわりを詰め込んだ、京都の顔料プリント工房によるオリジナルのもの。「布を編む職人、染める職人、縫う職人。textiletellsは、京都を中心とするさまざまな手仕事と技術の結晶です。そこには、日本人が大切にしてきた美意識も込められています。それを、バッグという形でお届けしているのです。効率的で均一的な生産が溢れていますが、人の手仕事を大切にするブランドであり続けたいです」

出会う人をもっと喜ばせるために進み続けるtextiletells

京都伏見で蓼藍(たであい)の栽培から染色まで行う職人さんとコラボした藍染シリーズを展開したり、販売する店舗のイメージや季節に合わせた限定アイテムを販売したりと、様々なチャレンジを重ねる佐野さん。「textiletellsでPOPUPを開くとき、環境が整っていれば、その場でハンドペイントの実演をすることもあるんです」バッグに表情を宿らせる瞬間を間近で見ることで、ものづくりの奥深さや面白さが、ぐっと身近に感じられるはず。「いつかは、お客様ご自身がハンドペイントを体験できるような場もつくってみたい」とも。自分の手でグラフィックを描いたバッグなら、その時間や気持ちまでも込められた、とっておきの思い出として長く大切に使いたくなるはずです。

スランプも乗り越え絵を描くことが、自分らしさの軸に

布と向き合い続ける佐野さんが、テキスタイルデザイナーになるまでの道のりもうかがいました。「3歳からお絵描き教室に通い、小学校では図工の時間が待ち遠しい、そんな子ども時代でした。他にも水泳やダンス、書道に英会話、とさまざまな習い事を経験しました」一番楽しかった習い事がお絵描き教室だったのかと思いきや「楽しかったのは英会話ですね。絵は趣味の域を超えてしまって。“うまく描けない——”という苦しい時期もありました」スランプも経験しながら“描くこと”が、自分らしさの中心にあると段々と気づいていったのだそう。「小学校の卒業文集には“京都市立芸術大学を目指す”“美術関係の仕事がしたい”と書いていました」その目標を達成するために美術の高校へ進学。美術の道をまっすぐに進んでいきました。

二次元から三次元へ変わる布の魅力

「高校の授業で暖簾(のれん)をつくる機会がありました。その時、自分で描いた二次元のグラフィックが布に染め上げられることで三次元になり得る、そんな布の特異性に興味をそそられました。布は、平面のイラストを小さなハンカチにも、大きなカーテンにも変えることができる自由な素材。そして布は、誰もが毎日、自然に触れている存在ですよね。人々の暮らしに密接に寄り添うもの。そんな布にかかわっていれば、自分が作り出すものが誰かにハッピーを届けることができるかもしれない——そう思ったことが、テキスタイルの道へ進むきっかけでした」

思いがけない出会いが未来をひらく

高校、大学と美術の道を歩んだ佐野さん。そして“テキスタイルデザイナーになる!”という強い意志のもと始めた就職活動では最初、大手企業をメインに活動したそうです。「思うような結果が出ず落ち込んでいたのですが、“先入観を捨てて改めて企業を探そう”と、大学の就職支援室へ向かい、過去の募集要項を漁るように見ました。そこでデザインハウス風だけがなぜか気になったんですよね。その年、新卒の求人は出ていなかったのですが、電話で見学をさせてほしいと伝えました」初めて足を踏み入れたアトリエで出会ったのは、面白いグラフィックがプリントされた、たくさんの布。「それを見て“ここで働きたい”と感じました」その想いが通じて、夏休みの2週間、インターンとして受け入れてもらえることになりました。

描いた絵が誰かの幸せにつながる喜び

「インターン中に取り組んだのが、布にプリントするためのモチーフを墨で画用紙に描く、ということでした。山ほどの絵を描かせてもらいました。自分の特技である絵を描くことを活かして布に関われると確信した2週間でしたね」そしてデザインハウス風への就職が決定。就職支援室で見つけた一枚の資料との運命的な出会いと、勇気を出して電話をしたという一歩があったからこそ、佐野さんの物語は動き出したのでしょう。「学生の時は自分の作品が誰かのためになると実感できる機会がありませんでした。就職し、自分が描いた図案の洋服が百貨店に並んだ様子を見て、“これで誰かをハッピーにできる”と、ほっとしたことを今でも覚えています」

自分発信のものづくり、という新たな挑戦

1961年の創業以来、デザインハウス風は国内外のアパレルメーカー向けに、洋服の生地に使われる模様や図案を描き、協力工場とともにプリントテキスタイルを制作しています。代表取締役社長の松井啓介さんは「メーカー向けのものづくりだけだと、クライアントの喜ぶ顔は見えても、その先にいる“本当に使ってくれるお客様”の姿にはなかなか触れられない」と語ります。そうしたもどかしさが積み重なる中で、社内に蓄積されたデザイナーたちの経験や技術、そして京都を拠点に培ってきた染色・縫製など各分野の職人とのつながりを活かし、エンドユーザーと直接つながるものづくりも手掛けたいという思いが芽生えていきました。ちょうどその頃、社内でデザイナーとして活動していた佐野さんの中にも“自分発信のものづくりがしたい”という想いが生まれてきたそうです。会社としての新たな挑戦と、佐野さん自身の気持ちが重なり合い、2021年にtextiletellsが誕生しました。

これからも布で伝えるブランドとして

ブランド誕生から約4年半が経ち国内外に広がりつつあるtextiletellsの物語。これからどんな出会いを紡いでいくのでしょうか。「日本の布の面白み、textiletellsの魅力をパリやニューヨークなど海外へも積極的に発信していきたいと思っています。和にも洋にもなじむtextiletellsのバッグは、伝統的な“和”のデザインとは少し違います。日本人が大切にしてきた“美しいと感じる心”や“丁寧に暮らす姿勢”を、布を通して伝えていきたいです」また、アパレルに限らず、インテリアや空間演出にも挑戦していきたいと考える佐野さん。「布はハンカチのような小さなものから、クッション、カーテン、空間そのものにまで姿を変える不思議な存在。和紙生地以外にも、面白みのある素材に出会いながら、自分が培ってきた染色技術や、布の柄をどのように美しく配置するかというパターン設計の知識を活かして、布の可能性をさらに広げていきたいです」

制作で常に心がけているのは「独りよがりにならないこと」とも語ってくれた佐野さん。
誰かの暮らしのなかでそっと寄り添えるものであるか、相手のことを思い描きながら手を動かす、ということを大切にしているのだそう。
そんな想いのもと生み出されるtextiletellsのアイテムは、軽くて丈夫で使いやすく、
どんな服装にでもあわせやすいと大好評。何年も使い込んでくれるお客様がいるというのも納得です。
実はサンギのロズリン社長も愛用者の一人です!
POPUPの情報や新商品など、textiletellsの最新情報はウェブサイトSNSで最新情報をチェックしてみてください。

PRESENT

抽選で1名の方に、肩からかけることができる
巾着バッグ「drawstring bag [black] フリーペイント」を
プレゼントします。
textiletellsで一番人気のモデルとなります。

※写真はサンプルを撮影したものです。
フリーハンドでペイントされているため、
実際にお届けするバッグとは表情が異なります。
世界に一つの出会いをぜひお楽しみください!

※応募締め切り:2025年10月28日(火)

PROFILE

佐野明代さん テキスタイルデザイナー 佐野明代さん テキスタイルデザイナー

京都生まれ。京都市立芸術大学 ビジュアルデザイン科卒業後、株式会社デザインハウス風に入社。2021年にtextiletells立ち上げ。全国各地の百貨店を中心にPOPUPも積極的に開催している。

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